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昔の「国」の名のついた「伝統的工芸品」の「陶磁器」について

昔の「国」の名のついた「伝統的工芸品」の「陶磁器」について

昔の「国」の名のついた「伝統的工芸品」の「陶磁器」について

伝統的工芸品の陶磁器

経済産業省が「伝統的工芸品」と認めた陶磁器は、現在32品目あります。
そしてそれらは、22の都道府県で生産されています。

陶磁器とは

陶磁器は、「伝統的工芸品」の品目指定で「陶磁器」に指定されています。
さらに細かく分類すると「陶器」と「磁器」に分かれます。

その違いは

  • 材料の土の違い
  • 焼く時の温度の違い

です。

陶器は陶土(粘土)を1100~1200度で焼きます。

一方で磁器は1300度の高温で焼きます。
陶石や長石といった石の材料を砕いたものを焼きます。

また、歴史を見ると、陶器は4~5世紀ごろから始まりました。
朝鮮半島から「窯」の技術が伝わったころです。

磁器は17世紀の初めに朝鮮から来た職人が、
今の佐賀県有田で、磁器の原料となる「磁鉄鉱」を発見しました。

陶器について

今回は磁器よりも歴史が古い陶器を中心に説明します。
磁器は全国各地で生産されています。

日本六古窯

日本六古窯とは1000年以上の歴史がある日本古来の窯です。
これらは現在まで陶器の生産が続いている6つの窯につけられた名前です。

① 越前(福井県越前市)旧国名越前国

福井県北西部の日本海側では、徳利や壺などの日常で使う器を作っています。
伝統工芸品としては「越前焼」が指定されています。

▼ 越前焼

❷ 瀬戸(愛知県瀬戸市)旧国名尾張国

椀や皿、鉢などの日常で使う器がたくさん生産されていました。

陶磁器で有名なものに「瀬戸物」があります。
これは瀬戸という場所で作られたから瀬戸物と呼ばれています。

瀬戸窯はもともと陶器が中心でした。
しかし、伝統工芸品に指定されている「瀬戸染付焼」は磁器です。

▼ 瀬戸染付焼

❸ 常滑(愛知県常滑市)旧国名三河国

愛知県に知多半島という場所があります。
ここではふだん使う器や壺、甕など、大型の製品をたくさん生み出しました。

常滑焼は各地の窯に影響を与えました。
越前焼、信楽焼、丹波焼などの元になりました。

伝統工芸品としては「常滑焼」が指定されています。

▼ 常滑焼

❹ 信楽(滋賀県甲賀市)旧国名近江国

甲賀市は、琵琶湖の南部にあり、まわりを山々に囲まれた地域です。
そして原料の土に恵まれた地域です。

はじめは常滑焼の影響を受けた壺や大甕を生産していました。
大甕とは甕よりもさらに大きなサイズの入れ物です。
そして、その後すり鉢や日常品も作っていました。

特に信楽の窯は大きなものを作ることができます。
たとえば、「信楽の狸」という大きな狸の置物が有名です。
伝統工芸品としては「信楽焼」が指定されています。

▼ 信楽焼

⑤ 丹波(兵庫県丹波篠山市)旧国名丹波国

兵庫県中央部の篠山盆地を中心に、食器や酒器、花器などを作っています。
伝統工芸品としては「丹波立杭焼」が指定されています。

▼ 丹波立杭焼

⑤ 備前(岡山県備前市)旧国名備前国

岡山県東部の瀬戸内海から少し内陸部に入った備前市で作られています。

茶陶器や日常で使う雑器のほか、置物なども作られています。
伝統工芸品としては、「備前焼」が指定されています。

▼ 備前焼

炻器とは

炻器とは、聞きなれない言葉かもしれませんが、陶器と磁器の中間の焼きものです。

陶器が1200度まで、磁器が1300度で焼かれているのに対し、
1200~1300度の温度で焼かれるのがこの炻器です。

磁器のように透明な感じはしませんが、高い温度で焼かれているので陶器のように水を吸い込むことがありません。
六古窯の焼き物のうち高い温度で焼かれているものは、炻器に分類されます。

日本各地にはさまざまな陶磁器を見ることのできる 伝統工芸館や博物館があります。
ぜひ行ってみてください。

参考:
伝統的工芸品 (METI/経済産業省)

文章・画像提供:
gmaru様

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