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【ぶんか】昔の「国」の名のついた米やイモについて

【ぶんか】昔の「国」の名のついた米やイモについて

【ぶんか】昔の「国」の名のついた米やイモについて

お米についた国の名前は

稲と米

「稲」は「イネ科」の植物です。
しかし、田んぼで栽培されているときは「米」とも呼ばれています。
みなさんが知っている食べるためのご飯となるときは「米」と呼ばれます。そして「稲」と呼ばれることはありません。

稲の品種につけられた国の名

最近の稲の品種名は北海道の「ゆめぴりか」や青森の「青天の霹靂(雷のこと)」、滋賀の「みずかがみ」のように米が作られている場所を想像しにくい名前です。

稲の品種の名前を米の名前にすることが普通になったのは、宮城県の「ササニシキ」秋田県の「アキタコマチ」新潟県の「コシヒカリ」のような名前が始まりだったと言われています。

・「ササニシキ」の「ササ」は現在の宮城県の仙台藩主の伊達家の家紋である「笹」が由来です。
昔の日本では現在の都道府県が「国」と呼ばれていました。
そして「藩」と呼ばれるグループがそれぞれの国を治めていました。

・「アキタコマチ」の「アキタ」は主な生産地の秋田県がその由来です。

・「コシヒカリ」は昔の国の名前である「越」をつけたものです。
「コシヒカリ」は福井県の農業試験場で生まれました。
しかし、新潟県で特に多く栽培されたので「越後国」の一部である「越」を取りました。

・広島県産の「あきろまん」は昔の国の名「安芸国(現在の広島県)」から取ったものです。

・福井県産の「ハナエチゼン」は昔の国の名前である「越前」からとったものです。
お米として売られるときは「華越前」という漢字が使われます。

昔の国名と今の米ブランドとの関係

例えば「コシヒカリ」は「越」の国だけではなく全国で栽培され、「アキタコマチ」も秋田県以外でも栽培されています。

・近江米または江州米
「コシヒカリ」や「みずかがみ」という品種のお米を滋賀県で生産しています。
品種に関係なく、昔の国名である「近江米」や「江州米」などのブランド名をつけて販売をしています。
これは滋賀県産のお米であることを印象付けるためです。

・コシヒカリの産地もいろいろあります。

丹後産コシヒカリ、丹波産コシヒカリなどのように昔の国の名前をつけていることがあります。

米ではありませんが畳につけられた国の名前

畳とは日本の伝統的な床のことです。畳の表面の部分を「畳表」と言います。
畳は「イグサ」という植物で作ります。

この「イグサ」は「イネ目」の植物です。
栽培も「イネ」と同じように田んぼで育てられます。

イグサの茎を集めてそれを編みかごのようなものを作ります。
これが、「畳表」になります。

現在生産量では熊本県が多いのです。
しかし、最高級のものは「備後表」と呼ばれます。
そして「備後国(現在の広島県東部)」の名前がつけられています。

イネも茎の部分を集めて「わら細工」に使います。
イネの茎を干したものをわらと呼びます。わら細工とはわらを使って小物を作ることです。
縄を編んだりすることもあります。

イモにつけられた国の名前

サツマイモ

サツマイモはヒルガオ科の植物につけられた名前です。

昔の「薩摩国(現在の鹿児島県)」が主な産地なので「薩摩芋」と呼ばれています。
サツマイモという名前は日本語のように聞こえます。しかし、実は南アメリカ大陸から来た植物です。
15世紀の終わりに「大航海時代」に「コロンブスやマゼラン」達が全世界に広めました。

日本には「唐(現在の中国)」を経由して「琉球国(現在の沖縄県)」や九州に持ち込まれたようです。
今では「サツマイモ」の名前が一般的に使われています。
しかし鹿児島県では別の名前で呼ばれていました。

この芋が「琉球」や「唐」を経由してきたので「琉球芋」や「唐芋」と呼ばれていました。
サツマイモの品種には国の名前をつけられたものはありません。

しかし、地域の名前がついているものがあります。
例えば「鳴門金時」という名前のサツマイモは「鳴門」という地名がついていることで有名です。

「鳴門」は世界的にも有名な「鳴門のうずしお」で知られる場所です。
ここは、「阿波国」の一地方です。
このほかに地方名がつくのは「関東地方」を意味する昔の呼び名の「吾妻(東という意味)」のついた「紅あずま」くらいです。

ジャガイモ

・植物としての名前の由来
「ジャガイモ」も「サツマイモ」と同じで南アメリカ大陸で「インカ帝国」で有名なアンデス山脈の地域が原産地です。
サツマイモと同じで16世紀ごろの「大航海時代」に世界中に広がっていきました。
ジャガイモは日本に17世紀ごろに外国から来ました。
今のインドネシアのジャワ島のジャカルタに拠点を置いていたオランダ人との交易で入ってきたようです。
この「ジャカルタ」が違う発音になり「ジャガタライモ」となり、現在のように「ジャガイモ」という名前になったようです。
日本の昔の国名ではありませんが、日本に伝わった外国の地域の名前がつけられているのは面白いですね。

・現在栽培されている品種につけられた地域の名前
品種の名前としては「男爵」や「メークイン」などがよく知られています。
しかし、今のところ昔の日本の国の名前をつけた品種はなさそうです。

最近注目されている品種で原産地である地域の名前をつけた「レッドアンデス」や「インカのめざめ」という品種があります。

作物の名前やその品種につけられた国や地域の名前

イネも中国原産の外国からきた植物ですが2000年以上前に伝わったので原産地に関する名前は無く、作物の名前としては「稲」や「米」のように一般的な名前になっています。

サツマイモやジャガイモのように比較的新しく外国から きた作物については、原産地に関連した名前がつけられたようです。

品種としての名前でも、ジャガイモはサツマイモよりも洋風料理に使われることが多いためか、「インカ」や「アンデス」といった日本風の名前ではないものがあるのも面白いですね。

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